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ヨガ講座6 バクティ・ヨーガとは何か(復習)

この第6回の講座は4年前に受けた時も大変深く心に残った内容でした。
ヨガにはラージャ・ヨーガ、ギャーナ・ヨーガ、バクティ・ヨーガ、カルマ・ヨーガという4つの道がありますが、その4つとも目指す所は全て同じです。
バクティ・ヨーガとは愛・信仰・献身のヨーガ。神への強烈な愛・信仰によってそこへ到達しようとするヨーガです。心の働きを死滅させることがヨーガであるとされています。自分という狭いものから、意識を広げ自然や宇宙や神といったもっと大きなものへと繋がる為には、自我意識は邪魔なものです。神への愛によってその自我をなくそうというのがこのバクティ・ヨーガです。神とは天にいるただ1つのものではなく、あらゆるものの中に神が宿っているとヨーガでは考えます。汝隣人を愛せ、汝の敵を愛せ、という宗教の教えも、そう考えれば頭の中では理解ができそうですが、それを実践できたのはマザー・テレサとカトリックの司祭コルベ神父くらいではないでしょうか。

 2006年1月にNHK BSで放送された 世界・わが心の旅「ポーランド 愛と死のアウシュヴィッツ」を見せていただきました。その内容です。
 第2次世界大戦中の1941年7月29日、アウシュヴィッツでのこと。ジグモンド・ピラフスキーが脱走しました。脱走者が出ると見せしめのため、連帯責任として同じ棟から無作為に10名が選ばれ「餓死室」に送られます。コルベ神父の属していた第14号の棟舎から10名が選ばれ、その中にフランチーシェック・ガヨビニチェックさんがいました。餓死室に引かれて行こうとした時、彼は「私には妻と子供がいる!死にたくない!」と叫びました。それを聞いたコルベ神父は身代わりを申し出ます。「私をその人の身代わりにして下さい。」
 
地下の餓死室にコルベを含む10人は全裸で入れられました。普通であれば恐怖と失望と飢えで精神が破壊され、錯乱状態になり叫び狂い死んでいきます。その声をたびたび漏れ聞いてその恐怖を知っていた近くの囚人達は「餓死室の刑」と聞いただけで身も凍るほどだったそうです。

 しかしこの10人の囚人達は今までとは違いました。コルベは神に祈り、讃美歌を歌い、皆を励まし続けました。様子を見に来た看守は、牢獄から聞こえる祈りと歌声によって餓死室がまるで聖堂のように感じられた、と証言しています。一人、また一人とその声が減っていく中、コルベはこれらの人々の魂を看取り、彼等の魂が天国へ行くよう精神的に導きました。

 2週間目の8月14日、6人が亡くなり3人が衰弱、意識があるのはコルベ神父だけでした。そして死刑執行の都合から注射により毒殺されました。コルベ神父47歳でした。この時のコルベは、死ぬことを喜んで望むような、穏やかな表情で自ら腕を差し出し注射を受けたそうです。コルベの最期を見た人の話では、その顔は、目を開け、穏やかで美しく輝いた顔であったということです。

 餓死室でのコルベは、嘆き声を一言も漏らさず、終始、穏やかな目で監視兵と接していたそうです。格子越しに目が合った監視兵が「そんな(澄んだ)目で私を見るな!」と言ったというエピソードも残っています。その監視兵も人の子、神々しいコルベ神父に対し、少しは良心の呵責があったのでしょう。
 
 餓死室行きを免れたガヨビニチェックさんは、生き残り、終戦で解放されて収容所を出ましたが、再会を切望した愛する子供は空襲を受けてすでに亡くなっていました。番組では93歳になるガヨビニチェックさんを訪ねていました。
『コルベ神父の死を聞いた時どう感じましたか?』という問いにこう答えていました。
「非常に辛い質問です。・・・私は夢遊病者のように収容所の中をさまよいました。私の代わりにコルベ神父は死んだのに、私は生きているのです。」
「私は払いきれない程の負債を抱えて生きています。私は生きている限りコルベ神父のことを語り続けます」(この2006年にはご存命でしたが、現在ガヨビニチェックさんは亡くなったそうです)
       

素晴らしいドキュメンタリーでした。NHKには再放送を切に願いたいです。
 コルベ神父は1982年10月10日バチカンにおいて、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世からカトリック聖人に加えられました。その時ガヨビニチェックさんも招かれ、法王から「あなたがいたからコルベは聖人になれました。感謝します。」と抱擁されたそうです。1998年にはイギリスのウエストミンスター寺院の扉に「20世紀の殉教者」の一人としてコルベ神父の像が飾られました。

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アーロン・アントフスキー博士(ユダヤ系アメリカ人。医療/健康社会学者)は1970年代にイスラエルに住む45歳~55歳の女性たちの更年期に対する調査をしました。その中にナチスの強制収容所から生還した女性が多く含まれていました。彼女達は肉体的・精神的にも想像を絶する体験をし、究極のストレス下に置かれた経験を持っていますので、彼女らは精神の健康度が通常の人より劣るのではないか?と博士は考えましたが、調査の結果は約3割の人は通常の人と変わらない心の健康を保っていました。
「同じ環境で悲惨な経験をしたのに、精神的に元気でいられる人と、そうでない人がいるのはなぜだろうか?」と博士は疑問を持ち、研究をした結果が著書「健康の謎を解く」にまとめられています。その3割の人達はSOCの値が高かったそうです。ストレスに強い人たちはSOC を備えていることがわかりました。
SOC=Sense Of Coherence センス・オブ・コーヒアレンス、直訳すると首尾一貫感覚。
ストレス対処能力といえるでしょうか。自分の人生で起こるさまざまな出来事のつじつまを合わせる感覚。「このつじつまをうまく合わせられる人は、心配事をエネルギーに変えられる」と、アントノフスキー博士は述べています。人には、SOCの高い人と低い人がいて、高い人はストレスフルな状況に直面しても元気でいられると結論付けたのです。
 強制収容所での劣悪な環境の中、チフスなどにかかり死んでいった人もいれば生き残った人もいます。もう駄目だ、もう生きて出られないと悲観に暮れて自分の殻の中に閉じこもった人もいれば、生きて出られる日が来るはずだと信じ、今のこの状態を出来るだけ良いものにしよう、1日1回は楽しいことを言って皆で笑いあおう、歌を歌おう、とした人達もいました。
笑いが人の細胞を変えるように、悲しみも細胞を変える、と今の科学でやっとわかってきました。心の持ち方一つで免疫や抵抗力までもに影響するのです。生きる力。目に見えないエネルギーがそこにはあります。

アントノフスキー博士は次の3つの感覚を束ねてSOCといっています。
①comprehensibility:『把握可能感』
将来起きる出来事をある程度予測できる感覚。
「ストレスの元=ストレッサー」となっているものが何であるのか? それをちゃんと把握出来ていて、自分で説明できる感覚のこと。

②manageability:『処理可能感』
ストレス処理のために、周囲の人の力や物、お金が得られるという感覚。
「このストレスを乗り越えることができる」という、強い確信や自信が自分にあること。

③meaningfulness:『有意味感』
困難に出会っても、心身を投入して乗り越えて生きていこうとする感覚。
そのストレッサーに自分で意味を見出せるかということ。「自分の人生にとって必要なものだ」とか「挑戦し克服しなければならない」というように積極的にそれを捉えることができると、ストレスは逆に成長の糧となります。

ちなみにこのSOCの数値は、アントノフスキー博士が考案した設問で誰でも調べられます。私達もヨガセラピストの講座で節目ごとに調べました。同じ質問なのに不思議なことにその時の心身の状態で数値が変わります。
       
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 昨年開かれた「悟りの生理学」というシンポジウムで、木村慧心先生が講演をなさいました。
そこで木村先生が紹介されていたのが、脳科学者ジル・ボルト・テイラー博士の著書『奇跡の脳』という本。ジルさんはハーバード大に勤める脳科学者であった37歳のある日、自分が脳卒中になり倒れます。なんとか携帯で同僚に助けを求め、命は助かったのですが、専門家であるがゆえに全てその過程を自分で把握するように努めたそうです。
 ジルさんの場合は左脳が出血したため、身体機能、線的思考や言語能力を失ないました。同時に左脳に蓄積された知識や記憶も失ないました。そして、右脳の人、感性や感覚のみの世界の人となったのです。左脳の機能が失われた彼女がどうだったかというと、
「私の右脳は今ここにある。私は生きている。あらゆるものに感謝が出来て、私が生きることが美しく素晴らしく感じる。宇宙の調和に満ちていると感じる。それがただとにかく素晴らしい」
という幸福感を味わったのだそうです。リハビリをして、今までには味わったことのないこの幸福感が消えてしまうならリハビリはしたくない、とまで最初は言っていたそうですが、リハビリをして回復してもその幸福感は残ったそうです。ジルさんのお話はこちら

予期せずに悟りに達してしまったのですね。ヨガを実践する者はそこの境地を目指して修行するわけですが、求めずして偶発的にその悟りを手に入れてしまう方は結構いるようです。うつ病になり精神科で処方された薬を飲んだら守護霊の声が聞こえるようになって悟ってしまい、サラリーマンを辞めてしまった雲黒斎さん、階段から落ちて意識を失ったら悟ってしまい、ジョン・レノンのイマジンはこの事を歌っていたのか!と実体験した元歌手の阿部敏郎さん。両方ともとても面白い本です。ご興味のある方は是非どうぞ。

 *****************

ヴィヴェーカナンダ師の言葉
「私の友よ、この世全体が精神病院なのです。ある人々はこの世の愛に狂喜している。ある人々は自分の名声と評判に、ある人々は金に、またある人々は救いと天国に行くことに狂喜しています。この大きな精神病院の中で、私もやはり精神異常であり、私は神に狂喜しています。
あなたが金を求めて狂っているなら、私は神を求めて狂っているのです。あなたは精神異常ですし、私もそうです。しかし、私の狂喜が一番いいと思います。」

この3次元の、外界の形あるものは全て迷妄だとされます。
心が何と結びついているかによって人間の行動は変わります。コルベ神父のように神様と結びついていれば死をも恐れずに受け入れるのです。
利己から利他へ。無私、無我でいられれば、私達は恐れるものは本当に何一つとしてないのかもしれません。

 2006年の夏オランダへ行く機会があり、軽い観光の気持ちでアンネ・フランク達の隠れ家を訪ねました。遠い昔に歴史の教科書で習った文字上のものが、自分で実際に目にし、ようやく自分の中に入ってきました。壁に残るアンネ達が書き込んだ丈比べの文字。長い時を経てもその小さな家の中に確実に彼女達の辛い思念が残っているのを感じ、胸が詰まりました。アンネの日記を読破すらしていない自分を恥じ、普通に生きていることがいかに幸せな事なのかを考えさせられました。帰国したらアンネの日記をちゃんと読まなくては!と入る時とは全く違った気持ちでアンネの家を後にしました。そして帰国したその月の講座で調度タイムリーにコルベ神父の事を習ったのでした。
 アンネのお父さんもガヨビニチェックさんも生き残って収容所を出て、非常に長生きをされました。
『生きてこの事実を伝える』という大きな役目を与えられていたのですね。
死ぬまでにアウシュヴィッツも是非訪れておきたいと思います。
by yogini_yogini | 2010-11-03 14:36 | yoga講座